チェルの超短編



色々なパターンで超短編書いてみようかな

1 能力阻害体質

「いっ!」
春水が膝を抱えて座り込んだ。
「は、羽賀ちゃん…」
春水は辛そうに声を漏らす。朱音は黙って春水の傷に手をかざした。
「…あれ?」
朱音は戸惑う。いくら『力』を使おうとしても、春水の傷は一向に塞がらない。
「なんで?なんで?」
予測不能の事態に混乱する朱音は、背後に忍び寄る敵に気がつかない。
「羽賀ちゃん!!」

「…能力なんかに、頼るから」
吐き捨てるように、人影が呟いた。携帯端末を取りだし、慣れた手つきで上司を呼び出す。
「…はい。能力者、二名の阻害に成功しました」
ー能力の種類は?ー
「我々の分類で言うと、一人はOタイプに近いでしょうか?火炎系の攻撃能力でした。もう一人はEタイプ、所謂治癒能力です」
ーそうか、ご苦労。しかし、これはあくまで実験だからなー
「もちろんです。では、すぐ戻りますね」

野中美希。半径50m程度の範囲内にいる能力者の能力を、意思に関係なく封じる。





投稿日:2014/12/31(水) 11:07:48.82 0


2 空気抵抗操作

大男が降り下ろした金属バットは、彼女の目の前で勢いを失った。
「っく!なんだこいつ…てめぇ、何者だ!」
美希はそれには答えず、ふわりと体を小さく傾ける。
刹那、
男の背後に、美希はいた。
「!?おい、どこだ!」
美希は、状況を飲み込めない男の膝の裏に、自分の膝を押し込む。
「ぐぉ!」とうめきながら倒れた男の目の前に、金属バットをぶらさけた。
男の体は、押さえつけられたように動かない。目玉だけが、金属バットと美希の間をうろうろ行き来している。
美希はつまらなそうに、言った。
「チェックメイトって言うんでしたっけ?こういうの」

空気に干渉しながら、空気には自らに対する一切の干渉を許さない。
彼女は、空気の抵抗を操る能力を持っていた。





投稿日:2014/12/31(水) 11:35:06.96 0
























最終更新:2015年01月06日 00:11