■ ウィルキャッチニィザア -田中れいなX光井愛佳- ■



■ ウィルキャッチニィザア -田中れいなX光井愛佳- ■

「いかせへん…」

光井は痙攣するその手でその脚を掴んだ。

「あかん…あかんのや…行ったらあかん…あかんの…田中さん…」
「愛佳…今、愛佳が何で止めるんか、れいなにはわからんし、言えん理由もわからん…言えんなら、れいなも聞かん」
「後生や…ここに…ここに…」
「でも、ガキさんが叫びよう…わかるやろ…だから、れいなは行く」
「あかん…あかん…ねぇ田中さん…後生や…ここにおって…ここに…」

その脳天に、田中の拳が、炸裂した。

勝てるわけがない。
止められるわけがない、それなのに光井は、力づくで、田中を行かせまいと…
なぜ?いったいなぜ止める?
新垣を助けに行くことの、どこに止めねばならぬ理由がある?
光井は答えなかった。
田中も聞かなかった。

気を失った光井を抱え、四輪駆動車の後部座席へ寝かせる。
自分の長袖を伸ばし、光井のほほについた涙の跡をぬぐう。

「あほ愛佳…」

新垣の心の叫び、いまは、その叫びに、応える。

だから、今は待っとって。

すぐに、ガキさん連れて、帰ってくるけん。



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投稿日:2014/11/04(火) 17:49:37.51 0


























最終更新:2014年11月04日 18:21