■ リホ -生田衣梨奈・鞘師里保- ■



■ リホ -生田衣梨奈・鞘師里保- ■

「里保」

鞘師里保は生田衣梨奈にそう呼ばれていた。
たしか、出会ってすぐのころは「りほちゃん」だった気がした。
それが、知らないうちに呼び捨てになっていた。
そこまであっという間だった気がする。
なんだかでも、ちょっとうれしかったな、里保だって、んふふ…
あれ?いつからだったっけ?
いつから…


「里保」

生田衣梨奈は鞘師里保をそう呼んだ。
たしか、出会ってすぐのころは「りほちゃん」だった。
初めて、衣梨奈の気持ちを分かってくれた、初めての、大切な、友達。
衣梨奈は、いっぱいこの人に甘えていいんだ、そうおもった。
だって、りほちゃんは強くて、衣梨奈の気持ちを分かってくれて、だから、甘えてもいいんだ。


でも今は違う

大切なだけじゃだめだ、大切だから、それだけじゃだめだ。
りほちゃんは強い、でもそんな里保が、衣梨奈のせいで、衣梨奈の甘えのせいで、傷ついた、ボロボロになった。

里保は、ちっとも気にしてなかった。
でも、それがくやしかった、たまらなく、くやしかった。

「イクちゃんは、ぽんこつだから…」

イクちゃんイクちゃん、ぽんこつえりちゃん、えりぽんえりぽん…

里保にとって、衣梨奈は、対等な存在じゃないんだ。
衣梨奈のせいで傷ついても、そのことを少しも気にしてもらえないほど、
この人の中に、自分はいないんだ。

だから、「里保」そう呼んだ。

もう二度と、里保を傷つけさせない。

衣梨奈は強くなる。

戦うんだ。
戦って勝つ、衣梨奈は里保に勝つ。
それが、いつか、里保を傷つけることになろうとも


かまわない!



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投稿日:2014/09/14(日) 02:17:01.54 0


























最終更新:2014年09月17日 06:39