(96)585 名無し保全。。。(“共鳴”と“競鳴”)



「まもなく、完成する」
「完成? 何の事だ?」
「始まりの9人が去り、新たに加わった9人だけの──」
「ああ、リゾナンターの事か。永かったな」
「6年以上か。確かに、永かった。よく続いたと思うよ」
「数多くの敵や障害に遭おうと、全てを振り切りここまで来た」
「……しかし〝完成〟と言うのは一体?」
「始まりの9人で〝完成したリゾナンター〟が1人抜け、3人抜け、4人が加わり……と、変化して来た」
「そうだったな。まさかメンバーが変わっても〝共鳴〟が続くとは思わなかったさ。リゾナンターってのは、予測不能の体現だな」
「これまでの変化を〝進化〟とするか〝退化〟とするか……それぞれ受け取り方は違うだろう。だがな……」
「どうした? 勿体ぶらずに言えよ」
「始まりの9人の最後の1人、道重さゆみが抜ける事で、リゾナンターは別の存在と成る。そして、新たな9人から切り離され〝完成〟するんだ」
「……別の存在?」
「もう始まりの9人では無い、全く別の9人に成るんだ」
「……」
「あの頃のリゾナンターはもう居無い」
「……」
「あの頃の9人はもう居無いんだ」
「……」
「あの頃に抱いた未来や希望は、永遠に失われる」
「……」
「永遠を以って〝完成〟されるんだ」
「……ちょっと待てよ」
「どうした?」
「今の10人に、これからの9人に、未来や希望は無いのか」
「当然だ。弱過ぎる。そして、まだまだ青過ぎる。未来や希望を掲げるだけの強さは──」
「それぞれ受け取り方は違う。だったら、これからの9人に未来や希望を抱いても良いはずだよな」
「……そうだな。世界は、互いに持つ価値観をぶつけて形成される。それぞれの価値観を示し、それぞれが想う様に成せば良い」
「自分に出来る事を成せば良い、か」
「否定では無く、嘘の肯定でも無く、だな」
「違いを認識するだけで良い。争う理由は、何処にも無い」
「想いが重ならぬ事も在る。重なる者同志で〝共鳴〟し、重ならぬ者と〝競鳴〟し、世界を紡ごう」







投稿日:2014/06/24(火) 19:45:05.78 0





















最終更新:2014年06月29日 09:24