魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」2-2
220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20:07:33.62 ID:Lbanm5QNP
メイド姉「そんなこと信じたくありませんっ」
魔王「わたしもだ」
魔王「わたしもだ」
メイド姉「……っ」
魔王「でも、私が学んできたことによれば、そうなんだ。
戦争は沢山の人が死ぬ。
憎しみと悲しみと、愚かさと狂気が支配するのが戦争だ。
経済的に見れば巨大消費で、歴史的に見れば損失だ。
でも、そんな悲惨も、出会いの一部なんだ。
知り合うための過程の一形態なんだよ」
戦争は沢山の人が死ぬ。
憎しみと悲しみと、愚かさと狂気が支配するのが戦争だ。
経済的に見れば巨大消費で、歴史的に見れば損失だ。
でも、そんな悲惨も、出会いの一部なんだ。
知り合うための過程の一形態なんだよ」
メイド姉「これが、出会いなんですか?」
魔王「そうだ」
魔王「そうだ」
メイド姉「辛くて悲しくてひもじくて寒いだけじゃないですか」
魔王「でも、そうなんだ」
魔王「でも、そうなんだ」
メイド姉「……」
魔王「出会いは必然にも似た運命、
もしくは運命に近似した必然だ。
しかし、その結果は違う。
だからせめて……あがきたい」
もしくは運命に近似した必然だ。
しかし、その結果は違う。
だからせめて……あがきたい」
222 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20:10:40.71 ID:Lbanm5QNP
魔王「戦争は争いの一形態だが、争いの全てが
戦争ではない。もっと他の方法で腕比べをしてもいいし
村の子供達が競って可愛い娘に花を届けるのも争いだ」
戦争ではない。もっと他の方法で腕比べをしてもいいし
村の子供達が競って可愛い娘に花を届けるのも争いだ」
魔王「また、争いは関係の一形態だが、関係の全てが
争いなわけではない。友好的な関係や支援関係だって
この世にあるのは事実だ」
争いなわけではない。友好的な関係や支援関係だって
この世にあるのは事実だ」
メイド姉「じゃぁ、なんで戦争なんか」
魔王「それはわからないが、存在するんだよ」
メイド姉「……なぜ。なぜ?」
魔王「私は、必要だからだと思う」
メイド姉「そんなものが必要だなんておかしいです」
魔王「『いずれ卒業するために必要』だと。
逆説的だが、そう言う事象もあるのかも知れない。
最初から大人として生を受けることが出来ないように」
逆説的だが、そう言う事象もあるのかも知れない。
最初から大人として生を受けることが出来ないように」
メイド姉「……」
魔王「いずれにせよ、私には判らないことだらけだ」
224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20:16:55.21 ID:Lbanm5QNP
――極光島沖合、南部諸王国艦隊
兵士「快晴! 風向き良しっ!」
兵士「腕が鳴るな」
兵士「腕が鳴るな」
士官「この分なら朝焼けのうちに上陸だ。
見ていろよ魔族め、人間の武力、思い知らせてやる」
見ていろよ魔族め、人間の武力、思い知らせてやる」
兵士「斧の手入れは怠りないか」
兵士「ぬかりない」
兵士「ぬかりない」
士官「反射光が目に入る。炭と油を混ぜて、
金属には塗っておけ」
兵士「わかりましたっ!」
金属には塗っておけ」
兵士「わかりましたっ!」
ごぼごぼごぼ
兵士「ん? 北東に大規模な気泡ッ」
艦長「なんだ? このような場所で……」
227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20:24:35.32 ID:Lbanm5QNP
ごぼごぼごぼ
ごばっ! ざばっ! ざばばばぁんっ!!
ごばっ! ざばっ! ざばばばぁんっ!!
兵士「てっ! 敵襲ぅぅぅっ!! 巨大烏賊ですっ!」 兵士「射てぇ! 射てぇ!!!」
士官「な、なん……だと……!?」
兵士「うわぁぁ!! 空だ、空にもいるっ!」
兵士「ハーピーだぁっ! 耳をふさげぇ!」
兵士「うわぁぁ!! 空だ、空にもいるっ!」
兵士「ハーピーだぁっ! 耳をふさげぇ!」
艦長「石弓隊っ! 頭上を狙えっ!
斧隊は触手を切り落とせっ!!」
斧隊は触手を切り落とせっ!!」
兵士「うわぁぁ! うわぁっ!」
兵士「離れろっ! こいつ離れやがれっ!」
兵士「離れろっ! こいつ離れやがれっ!」
士官「勇戦せよっ! 一歩も退くなっ!」
ミシィ、ミシィッ!!
兵士「み、水の中から魚人が狙って」
兵士「ぎゃぁぁ!?」
兵士「ぎゃぁぁ!?」
230 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20:28:46.14 ID:Lbanm5QNP
兵士「死ねっ! 貴様ら魔族は、魔界へと帰れっ!」
兵士「遊軍艦が魚人の切り込み攻撃を受けています!!」
兵士「遊軍艦が魚人の切り込み攻撃を受けています!!」
士官「支援だ! 回頭っ! 回頭しろ、操舵手っ!」
操舵手「舵輪が効きませんっ!」
兵士「触手が、艦長っ!!」
兵士「触手が、艦長っ!!」
ミシィ、ミシィッ!!
艦長「この音は、船体全てからっ!?」
兵士「18番、沈没っ!!」
兵士「灼けるっ! くそぉ、こいつら。酸をっ」
士官「水をっ! 水を掛けてくれっ!」
兵士「灼けるっ! くそぉ、こいつら。酸をっ」
士官「水をっ! 水を掛けてくれっ!」
兵士「斧じゃダメだっ! 火矢を射込めっ!」
艦長「ダメだっ! やめろっ!!
遊軍艦を燃やすつもりかっ!?」
遊軍艦を燃やすつもりかっ!?」
兵士「先行艦隊、壊滅っ!」
艦長「転進だっ! 船足を止めるなぁ!!」
艦長「転進だっ! 船足を止めるなぁ!!」
240 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20:43:36.44 ID:Lbanm5QNP
――南部諸王国軍、軍議
白夜王「……」
氷雪女王「戦船200隻のうち、かえってこれたのは15隻
生き残ったのは500人足らず……と」
生き残ったのは500人足らず……と」
冬の王子「大敗、ですね」
白夜王「……っ」
鉄槌王「ふんっ。ワシは反対したではないか。
水棲魔族への攻略無くして数で押し切ろうなどと
自殺行為ではないかと」
水棲魔族への攻略無くして数で押し切ろうなどと
自殺行為ではないかと」
白夜王「うっ、うるさいっ!!」
鉄槌王「うるさいとはなんだ!!
貴様は大口を叩いていたではないか!!
勇気があれば敗れることはないなどと。
この様は何だ。指揮官のみおめおめと逃げ戻り」
貴様は大口を叩いていたではないか!!
勇気があれば敗れることはないなどと。
この様は何だ。指揮官のみおめおめと逃げ戻り」
白夜王「我は王族なのだっ、生き残る義務があるっ」
243 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20:48:13.67 ID:Lbanm5QNP
鉄槌王「それもこれも、貴様が旗艦を転舵させている
あいだ身を挺してかばってくれた冬の国の戦船の
おかげではないかっ!!」
あいだ身を挺してかばってくれた冬の国の戦船の
おかげではないかっ!!」
白夜王「頼んだわけではないわっ!」
冬の王子「……ッ」
鉄槌王「心中、お察しいたす」
氷雪女王「冬の王は勇敢な方でした」
氷雪女王「冬の王は勇敢な方でした」
冬の王子「いえ、父らしい最期でした」
白夜王「はんっ! らしいもらしくないも無かろう。
そもそもあの島が奪われたのも、冬の王がしっかりと
防備を固めていなかったためではないか。
命をかけてかばったくらいでその失点が
消えるわけでもないわっ」
そもそもあの島が奪われたのも、冬の王がしっかりと
防備を固めていなかったためではないか。
命をかけてかばったくらいでその失点が
消えるわけでもないわっ」
鉄槌王「貴様ッ。南部の武人の矜恃を何処へやった!?」
氷雪女王「そうです。あの当時、聖鍵遠征でわれら
南部諸王国の兵力は殆ど出はからっていました。
総力を挙げた侵攻作戦だったのです。
それこそ、人間世界の防備がおろそかになるほどの」
南部諸王国の兵力は殆ど出はからっていました。
総力を挙げた侵攻作戦だったのです。
それこそ、人間世界の防備がおろそかになるほどの」
249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20:53:30.09 ID:Lbanm5QNP
白夜王「それを云うならば、今回の作戦だって
聖王国と光の教会からの提案によるもの。
その提案を断れる南部諸王国かどうか、
お前達も自分の胸に手を当てて考えてみるがいい。
そうだっ!
貴様もっ!
貴様もっ!
そこの小僧、お前もだっ!!」
聖王国と光の教会からの提案によるもの。
その提案を断れる南部諸王国かどうか、
お前達も自分の胸に手を当てて考えてみるがいい。
そうだっ!
貴様もっ!
貴様もっ!
そこの小僧、お前もだっ!!」
白夜王「冬の王に罪がないというのなら、
我の罪もないわっ。
我は艦隊を率い、総意によって総大将を勤めたまで。
その依頼は聖王国と光の教会からだったのだ。
200の船が壊滅したからどうだというのだ。
これでまた新しい船が手に入るではないかっ!」
我の罪もないわっ。
我は艦隊を率い、総意によって総大将を勤めたまで。
その依頼は聖王国と光の教会からだったのだ。
200の船が壊滅したからどうだというのだ。
これでまた新しい船が手に入るではないかっ!」
鉄槌王「云わせておけば……」
バンッ!!
冬の王子「黙れっ」
253 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20:57:22.10 ID:Lbanm5QNP
白夜王 びくっ
氷雪女王「……王子」
氷雪女王「……王子」
冬の王子「父は父の信じるところ為し、
その過程で命を落としたのだ。そのことで、白夜王。
貴公を責める気持ちは私にも、冬の民の1人に
至るまで持ってはいないっ」
その過程で命を落としたのだ。そのことで、白夜王。
貴公を責める気持ちは私にも、冬の民の1人に
至るまで持ってはいないっ」
白夜王「ほらみろ、そうではないかっ」
冬の王子「しかし、だからといって
この海戦敗北の責任を免れえるはずもない。
無策によって6000の将兵の命を散らしたのだ。
その意味、この会議に集った王族であれば
判らないはずは無いと考える」
この海戦敗北の責任を免れえるはずもない。
無策によって6000の将兵の命を散らしたのだ。
その意味、この会議に集った王族であれば
判らないはずは無いと考える」
白夜王「誰に向かって口をきいている、
くちばしの黄色いひよっこがっ」
くちばしの黄色いひよっこがっ」
鉄槌王「この会議に出た時点で、各国の代表だ。
わきまえよ、白夜王っ」
わきまえよ、白夜王っ」
260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 21:05:04.42 ID:Lbanm5QNP
白夜王「はっ! よかろう。貴様らがそう言うならば、
どのような責任でもとろうさ。はん? なんだ?
我の首でも欲しいのか? 我の首があれば、
中央や教会が納得するとでも?」
どのような責任でもとろうさ。はん? なんだ?
我の首でも欲しいのか? 我の首があれば、
中央や教会が納得するとでも?」
鉄槌王「……」
氷雪女王「常識的に考えて、賦役か資金援助でしょうね」
氷雪女王「常識的に考えて、賦役か資金援助でしょうね」
白夜王「良かろう、払おうではないか。
だがな、冬の。聞いておるぞ?」
だがな、冬の。聞いておるぞ?」
冬の王子「何をです」
白夜王「冬の国が最近なにやら、湖畔修道会と1人の
天才学者をおしたてて、巨大な利益を独占していると。
何でも新しい作物や風車を通して、
かの『同盟』までをも巻き込み、
多額の戦費をたくわえているそうではないか」
天才学者をおしたてて、巨大な利益を独占していると。
何でも新しい作物や風車を通して、
かの『同盟』までをも巻き込み、
多額の戦費をたくわえているそうではないか」
冬の王子「農業に工夫を加えたのは事実だ」
白夜王「そのうえで、なお白夜の国からの資金援助を
欲するというのか? 冬の国は金の亡者というわけだ。
南海の槍武王の末裔が聞いてあきれるわっ!」
欲するというのか? 冬の国は金の亡者というわけだ。
南海の槍武王の末裔が聞いてあきれるわっ!」
鉄槌王「……貴様ぬけぬけと」
266 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 21:08:18.82 ID:Lbanm5QNP
冬の王子「……潮時、か」
氷雪女王「?」
氷雪女王「?」
冬の王子「いえ、会議を続けましょう」
鉄槌王「そうだな。こうなっては善後策をうたねばならん」
鉄槌王「そうだな。こうなっては善後策をうたねばならん」
氷雪女王「とはいえ、中央からの要請を放置するわけにも
行かないでしょう。このままでは財政にどのような
圧力を掛けられるか」
行かないでしょう。このままでは財政にどのような
圧力を掛けられるか」
冬の王子「使者はなんと?」
氷雪女王「追加の援助が必要であれば、戦船で払う、と」
鉄槌王「ふんっ。どうやっても戦争をさせなければ
気がすまんようだな。自分たちは安全なところに
隠れておれば、どんな命令でも出せるというわけだ」
気がすまんようだな。自分たちは安全なところに
隠れておれば、どんな命令でも出せるというわけだ」
氷雪女王「どれだけの犠牲が出ればよいのか」
冬の王子「聞いてください。会議の方々。
中央や光の教会は意図は、戦意の高揚です。
勝てば良し、もし負けたとしてもその被害をテコに、
魔族の脅威を全世界に訴えて、次の聖鍵遠征軍を
起こすつもりだとしか思えません」
中央や光の教会は意図は、戦意の高揚です。
勝てば良し、もし負けたとしてもその被害をテコに、
魔族の脅威を全世界に訴えて、次の聖鍵遠征軍を
起こすつもりだとしか思えません」
270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 21:15:43.04 ID:Lbanm5QNP
冬の王子「どちらにせよ、我らの手には選択権がない」
白夜王「それみろ。結局は狗にすぎん」
鉄槌王「……」 氷雪女王「……」
冬の王子「犬で結構。犬なりの意地の見せ方を
白夜王にはお目に掛けるとしよう」
白夜王にはお目に掛けるとしよう」
鉄槌王「まさかっ」
氷雪女王「いけませんっ」
氷雪女王「いけませんっ」
冬寂王「いまを持って、冬寂王の名を継がせていただこう。
この冬のあいだに、第二次極光島奪還作戦を決行する」
この冬のあいだに、第二次極光島奪還作戦を決行する」
鉄槌王「本気なのかっ!?」
冬寂王「私は若輩ゆえ、何の発言権もなかったが
その罪の重さは魂で感じている。
ここでもう一度懺悔させていただきたい。。
勇者を行かせたのは、
勇者を葬り去ったのは我ら四人の罪だ。
南部諸王国の罪なのだ。
この世界から星が一つ消えたのは
この会議が追うべき重責をたった1人の勇者に
負わせたからだ」
その罪の重さは魂で感じている。
ここでもう一度懺悔させていただきたい。。
勇者を行かせたのは、
勇者を葬り去ったのは我ら四人の罪だ。
南部諸王国の罪なのだ。
この世界から星が一つ消えたのは
この会議が追うべき重責をたった1人の勇者に
負わせたからだ」
271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 21:18:52.99 ID:Lbanm5QNP
鉄槌王「……」 氷雪女王「……」
白夜王「たかが兵卒の1人ではないかっ!」
白夜王「たかが兵卒の1人ではないかっ!」
冬寂王「中央の太鼓持ちに成り下がった輩には判らぬ。
王族には、王族なりの信義というものがあるのだ。
それは時に非情であり……。
――我が父のように、背くこともある。
その王族は一生の間恥を背負ってゆくのだ」
王族には、王族なりの信義というものがあるのだ。
それは時に非情であり……。
――我が父のように、背くこともある。
その王族は一生の間恥を背負ってゆくのだ」
冬寂王「私は前王の子として、極光島を奪還し
勇者が為すべきだった光の千分の一でも
南部の王国にて肩代わりしなければならない」
勇者が為すべきだった光の千分の一でも
南部の王国にて肩代わりしなければならない」
白夜王「出来るかな、小童が」
冬寂王「その答えは戦場で証明しよう。失敬」
バタンッ!
執事「若様……」
冬寂王「会議は決裂だ。……至急、女騎士へ使いを出せ」
冬寂王「会議は決裂だ。……至急、女騎士へ使いを出せ」
執事「女騎士に?」
冬寂王「この戦には総司令官が必要だ」
冬寂王「この戦には総司令官が必要だ」
383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 00:46:53.45 ID:vGBiMEoLP
――大陸街道、関所
義勇軍兵「ああ、そうだ。俺も南氷海での戦いへ参加する」
若い傭兵「俺もだ、もし南氷海へ行くのなら一緒に行かせてくれ」
遊歴騎士「わがはいもそうだ。是非頼む」
若い傭兵「俺もだ、もし南氷海へ行くのなら一緒に行かせてくれ」
遊歴騎士「わがはいもそうだ。是非頼む」
関所の兵士「おおいな、今日だけで15人は通ったぞ」
関所の兵士「ああ、何時にない勢いだな」
関所の兵士「ああ、何時にない勢いだな」
義勇軍兵「今回の遠征は、とうとう若い英雄、
冬寂王が立たれると聞いたんだ」
冬寂王が立たれると聞いたんだ」
若い傭兵「ああ、槍武王の末裔、代々勇猛をもってなる
冬の国の若い王が軍を挙げるときいたぞ」
冬の国の若い王が軍を挙げるときいたぞ」
遊歴騎士「しかも、将軍は若く美しい、あの伝説の
女騎士だというじゃないか」
女騎士だというじゃないか」
義勇軍兵「おお! 勇者の右の翼と呼ばれた!!」
若い傭兵「聞いたことがあるぞ!」
若い傭兵「聞いたことがあるぞ!」
遊歴騎士「『黒点の射手』と呼ばれた左の翼、弓兵と並んで
魔王軍の並み居る将軍をたった四人で次々と打ち破った
勇者の仲間。伝説の英雄の一人だ!」
魔王軍の並み居る将軍をたった四人で次々と打ち破った
勇者の仲間。伝説の英雄の一人だ!」
386 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 00:52:08.64 ID:vGBiMEoLP
義勇軍兵「実は俺の家族も後から来るんだ」
若い傭兵「そうなのか? 奇遇だな。俺もだ」
若い傭兵「そうなのか? 奇遇だな。俺もだ」
遊歴騎士「お前たち何を。戦場に家族づれだと?」
義勇軍兵「いや、そういう訳じゃないんだが」
若い傭兵「うむ。実を言えば、最近冬の国は豊かになったと
聞いてな。商業も盛んになってきたとか」
聞いてな。商業も盛んになってきたとか」
遊歴騎士「そんな噂があるのか?」
義勇軍兵「ああ。農奴の税も、賦役や作物ではなく
銀貨で治めても良いと云うことらしいんだ」
銀貨で治めても良いと云うことらしいんだ」
若い傭兵「俺もそう聞いた。銀貨で払って良いのならば
傭兵の給金で払えるじゃないか? 俺たちの家族は
やっと解放された農奴なんだ。冬の国へ行けば
小さな畑でも手に入れるかもしれない」
傭兵の給金で払えるじゃないか? 俺たちの家族は
やっと解放された農奴なんだ。冬の国へ行けば
小さな畑でも手に入れるかもしれない」
遊歴騎士「そんなうまい話があるものか」
義勇軍兵「ダメで元々だ。どうせ戦って死んでいくしか
俺たちみたいな半端者には残されていないんだ」
俺たちみたいな半端者には残されていないんだ」
393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 00:56:24.31 ID:vGBiMEoLP
遊歴騎士「まぁ、そうともいえるが」
若い傭兵「湖畔修道院の修道士が、紹介状を書いてくれたしな」
義勇軍兵「紹介状?」
若い傭兵「湖畔修道院の修道士が、紹介状を書いてくれたしな」
義勇軍兵「紹介状?」
若い傭兵「ああ、これをもってゆけば、
馬鈴薯の種芋をくれるというんだ」
馬鈴薯の種芋をくれるというんだ」
義勇軍兵「種芋? なんだそれは」
遊歴騎士「わがはいもしらんな」
遊歴騎士「わがはいもしらんな」
義勇軍兵「小麦の種のような物らしい」
義勇軍兵「ふむ、すぐにくれればいいのに。道中食べれたろうに」
若い傭兵「いや、それをつかって、
馬鈴薯を増やして欲しいと云うことなんだろう。
俺たちの家族は、もうずっと長い間、
自分たちの畑というものに憧れてきたんだよ」
馬鈴薯を増やして欲しいと云うことなんだろう。
俺たちの家族は、もうずっと長い間、
自分たちの畑というものに憧れてきたんだよ」
遊歴騎士「その気持ちはわからんでも無いな」
義勇軍兵「なぁ、俺にもその紹介状はもらえるだろうか?」
若い傭兵「ああ。この紹介状をくれた修道士は、
人数は向こうで相談してくれと云っていたんだ。
家族が来たら俺と一緒に行ってみようじゃないか」
人数は向こうで相談してくれと云っていたんだ。
家族が来たら俺と一緒に行ってみようじゃないか」
395 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:01:48.55 ID:vGBiMEoLP
――冬越しの村、夜の修道院
ばすん、どすん! ばたん!
女騎士「よし、こうだっ! この荷物めっ!」
女騎士「えいっ! えやっ!
何で素直に荷造りされないんだっ! えやっ!」
何で素直に荷造りされないんだっ! えやっ!」
こんこん
女騎士「開いている、済まないが今手を離せないんだ」
魔王「夜半、すまない。良いだろうか」
女騎士「あ? ああっと。す、すまない。学士様だったのか
わたしはてっきり修道士かと」
わたしはてっきり修道士かと」
魔王「いや、修道士殿に頼んでお邪魔させて貰ったのだ」
女騎士「そうだったのか」
魔王「……」きょろきょろ
女騎士「すごい有様だろう?」
女騎士「すごい有様だろう?」
魔王「もう、荷造りはされたのだな」
女騎士「もともと女らしさに欠ける性格でな。
その気になれば旅支度など簡単に整ってしまう」
その気になれば旅支度など簡単に整ってしまう」
397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:06:51.65 ID:vGBiMEoLP
魔王「そうなのか。……よいかな?」
女騎士「ああ。すまないな散らかっていて。
その寝台に腰を掛けてくれ」
その寝台に腰を掛けてくれ」
魔王「……」
女騎士「……えいっ! とやっ!」
女騎士「……えいっ! とやっ!」
魔王「……」
女騎士「どうしたんだ? 学士様」
女騎士「どうしたんだ? 学士様」
魔王「いや、なんだか慌ただしくてな」
女騎士「ああ。わたしの出発か?」
魔王「うん」
魔王「うん」
女騎士「指名頂いたことだし。せいぜい暴れ回ってくるよ。
心配はしなくて良い。修道会の仕事はわたしなんか居なくても
全て滞りなく回るようになっている。
そもそも最初からわたし抜きでも回っていたんだ。
わたしは運営にはとんと不向きだからな」
心配はしなくて良い。修道会の仕事はわたしなんか居なくても
全て滞りなく回るようになっている。
そもそも最初からわたし抜きでも回っていたんだ。
わたしは運営にはとんと不向きだからな」
魔王「そうではない」
女騎士「……」
女騎士「……」
魔王「そうではないんだが」
399 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:10:36.35 ID:vGBiMEoLP
女騎士「なんだ、随分歯切れが悪いな」
魔王「……」
魔王「……」
女騎士「わたしのことなら心配はいらない。
確かに勇者に及ばないかもしれないが、
そこらの魔族にやられるような鍛え方はしていないよ。
あははははっ。
たとえ船が沈んだって泳いで帰ってこれる。うん」
確かに勇者に及ばないかもしれないが、
そこらの魔族にやられるような鍛え方はしていないよ。
あははははっ。
たとえ船が沈んだって泳いで帰ってこれる。うん」
魔王「……」
女騎士「どうした?」
女騎士「どうした?」
魔王「その……。この一年間、わたしの我が儘に
さんざん付き合わせて」
さんざん付き合わせて」
女騎士「馬鈴薯のことか? 四輪作かな? 最初に云ったけれど
それらはぜんぶ我が修道会の理念に照らして正しいから
協力したんだ……。
だから遠慮することなど無い。
むしろ修道会一同、深く感謝している」
それらはぜんぶ我が修道会の理念に照らして正しいから
協力したんだ……。
だから遠慮することなど無い。
むしろ修道会一同、深く感謝している」
魔王「そうではなく、学院の指導だとか」
女騎士「ああ。剣と軍事教練か~」
魔王「そうだ」
魔王「そうだ」
408 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:17:43.30 ID:vGBiMEoLP
女騎士「あれは良い運動になる。ストレス解消にも。
それにね。適度な燃焼をさせないと脂肪が肉についてしまう。
肥えてしまうからなぁ~」ちらっ
それにね。適度な燃焼をさせないと脂肪が肉についてしまう。
肥えてしまうからなぁ~」ちらっ
魔王「ううっ……。うう」
女騎士「言い返してこないのか。
貧乳だの何だの。つまらないな。
その点ではあの眼鏡メイドの方が手強いか」
女騎士「言い返してこないのか。
貧乳だの何だの。つまらないな。
その点ではあの眼鏡メイドの方が手強いか」
魔王「その、女騎士殿は」
女騎士「うん?」
女騎士「うん?」
魔王「わたしは……その、幼いときから、ずっと……
部屋の中で育ってな。狭い家ではなかったのだが。
一人で……育ってな」
部屋の中で育ってな。狭い家ではなかったのだが。
一人で……育ってな」
女騎士「貴族の出だったのね」
魔王「うん、そんなものなのだ……」
魔王「うん、そんなものなのだ……」
女騎士「それで?」
魔王「だから、同性の親しい人は一人しかいなくて。
それはメイド長な訳だが」
女騎士「ふむ」
それはメイド長な訳だが」
女騎士「ふむ」
魔王「その、女騎士殿は。わたしにとって、いってみれば」
女騎士「……」
女騎士「……」
魔王「友達に一番近い存在だというように、
わたしの推測では、先日、そう結論したのだ」
わたしの推測では、先日、そう結論したのだ」
410 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:22:07.69 ID:vGBiMEoLP
女騎士「……」
魔王「もちろん、女騎士殿がどう思ってるかと
わたしの推論は何の関係もなくてだな、
これはいわばわたしの側の勝手な定義付けというか、
境界条件の曖昧な主観的な分類に過ぎないのだとは
判っているんだがな」
わたしの推論は何の関係もなくてだな、
これはいわばわたしの側の勝手な定義付けというか、
境界条件の曖昧な主観的な分類に過ぎないのだとは
判っているんだがな」
女騎士「……」
魔王「その女騎士殿が、将軍として戦場に出向く。
この戦は何もわたしと無関係なわけではない。
状況に照らせば、わたしの意志がバタフライ効果的に
影響を及ぼしたことは想像に難くないのだ。
しかし、それなのにわたしは……」
この戦は何もわたしと無関係なわけではない。
状況に照らせば、わたしの意志がバタフライ効果的に
影響を及ぼしたことは想像に難くないのだ。
しかし、それなのにわたしは……」
女騎士「……」
魔王「わたしは、まだ躊躇ってしまい、
手を下せない事がいくつもあるのだ。
わたしは、こんなにも愚かで弱い。
毎日のように愚かになっていくような気さえする。
――例えば、硝石と黒色火薬がそうだ」
手を下せない事がいくつもあるのだ。
わたしは、こんなにも愚かで弱い。
毎日のように愚かになっていくような気さえする。
――例えば、硝石と黒色火薬がそうだ」
414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:26:28.45 ID:vGBiMEoLP
魔王「それがあれば戦局は有利に展開できるのは判っている。
死者の数を2桁オーダーで減らせる可能性もある。
密かに冶金師への依頼も行い、研究も進めていた。
でも、それでもどうしても踏ん切りがつかないのだ。
それを手渡せば、戦には勝てるかもしれない。
でも、それを手渡してしまったら、
もう二度と戻れないのではないか。
そう思うと、笑ってくれるが良い。
手が震えそうになる」
死者の数を2桁オーダーで減らせる可能性もある。
密かに冶金師への依頼も行い、研究も進めていた。
でも、それでもどうしても踏ん切りがつかないのだ。
それを手渡せば、戦には勝てるかもしれない。
でも、それを手渡してしまったら、
もう二度と戻れないのではないか。
そう思うと、笑ってくれるが良い。
手が震えそうになる」
女騎士「……」
魔王「あの日わたしは誓ったはずだった。
勇者の手を取って。……どんなことでもすると。
願いを叶えるためだったならば、
たとえこの身体がこの命が
どこともしれぬ道ばたで腐れ果てようと気にはしないと。
幼いときから学んできた書物と情報海以外の
何かを見るためにだったら
どんな物だろうが生け贄に差し出しても良いと。
……でも。
なぜだか判らないが、わたしはどんどんと
弱くなってゆく。どのような技術でも渡してしまい
その結果世界がどう変わるか見てみればいいのに。
……その勇気がでないんだ」
勇者の手を取って。……どんなことでもすると。
願いを叶えるためだったならば、
たとえこの身体がこの命が
どこともしれぬ道ばたで腐れ果てようと気にはしないと。
幼いときから学んできた書物と情報海以外の
何かを見るためにだったら
どんな物だろうが生け贄に差し出しても良いと。
……でも。
なぜだか判らないが、わたしはどんどんと
弱くなってゆく。どのような技術でも渡してしまい
その結果世界がどう変わるか見てみればいいのに。
……その勇気がでないんだ」
418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:31:38.30 ID:vGBiMEoLP
魔王「これから、戦場へ赴く……友に。
それは酷い仕打ちだと思う。酷い裏切りだと思う。
わたしは女騎士殿と何の契約も交わしていない。
修道会と技術頒布の契約を交わしただけだ。
だから、わたしが女騎士殿に感じる
この罪悪感は無意味な物なのだ。
そのはずだ。
しかし、それでも胸からぬぐえない」
それは酷い仕打ちだと思う。酷い裏切りだと思う。
わたしは女騎士殿と何の契約も交わしていない。
修道会と技術頒布の契約を交わしただけだ。
だから、わたしが女騎士殿に感じる
この罪悪感は無意味な物なのだ。
そのはずだ。
しかし、それでも胸からぬぐえない」
女騎士「まぁ、要するに」
魔王「……」
女騎士「そのブラックパウダーとかいうのは
特性の広域殺傷用魔法のような物でしょう?」
特性の広域殺傷用魔法のような物でしょう?」
魔王「ああ」
女騎士「すごく強力で、すごく便利で、素人でも
使えちゃうかもしれないけれど、いってみれば
そういうものでしょう?」
使えちゃうかもしれないけれど、いってみれば
そういうものでしょう?」
魔王「そうだ」
女騎士「わたしはそんな物が無くても負けないから」
420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:34:55.59 ID:vGBiMEoLP
魔王「それだけじゃない。……わたしは」
女騎士「……?」
女騎士「……?」
魔王「女騎士殿に嘘をついているんだ」
女騎士「……」
女騎士「……」
魔王「ずっとみんなにも嘘をついている」
女騎士「……」
女騎士「……」
魔王「だから、今夜はここへ来たんだ。
これもまたわたしが望んだことだから。
かつて見たことのない『丘の向こう』のひとつだから。
女騎士殿。
わたしは……。
これもまたわたしが望んだことだから。
かつて見たことのない『丘の向こう』のひとつだから。
女騎士殿。
わたしは……。
わたしは魔王なんだ」
女騎士「……」
魔王「……」
女騎士「わたしが、湖畔修道会の修道院長だってしってるよね?」
魔王「ああ」
魔王「ああ」
女騎士「光の精霊に仕えていることも」
魔王「もちろん知っている」
魔王「もちろん知っている」
427 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:40:09.20 ID:vGBiMEoLP
女騎士「では、私、女騎士が
聖なる光の精霊の信徒の一人として
湖畔修道会の修道院長として
魔王、あなたの告悔を受け入れましょう」
聖なる光の精霊の信徒の一人として
湖畔修道会の修道院長として
魔王、あなたの告悔を受け入れましょう」
魔王「え?」
女騎士「あなたは友に嘘をついた。
それを友と精霊に告白をした。
あなたの罪は洗い清められた。
何の問題も有りはしない」
それを友と精霊に告白をした。
あなたの罪は洗い清められた。
何の問題も有りはしない」
魔王「魔王なのに……?」
女騎士「懺悔の内容は嘘をついたことでしょう?
それとも、なに? 魔王であることに罪の意識があるの?」
それとも、なに? 魔王であることに罪の意識があるの?」
魔王 ぶるぶる
女騎士「勇者を横取りしようとしたこと反省してるの?」
魔王 ぶるぶる
女騎士「じゃ、この件はそれで終了で良いでしょう。
湖畔修道会はごちゃごちゃした儀礼苦手なのよ」
湖畔修道会はごちゃごちゃした儀礼苦手なのよ」
439 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:46:30.44 ID:vGBiMEoLP
魔王「し、しかし!」
女騎士「いいじゃない。手早くて」
女騎士「いいじゃない。手早くて」
魔王「それじゃ……女騎士殿はっ」
(やー。わるいなぁ。女騎士よっ。
俺ちょっとさ、また魔界へいってこなきゃならねんだわ!)
俺ちょっとさ、また魔界へいってこなきゃならねんだわ!)
(そんでさ、申し訳ないけど、俺の代わりに
剣の先生やっといてくれねぇ? ひよっこどもだから
面倒くさきゃ毎日走らせておけばいいよ。
逃げ足ってのはいつまでたっても重要だからさ)
剣の先生やっといてくれねぇ? ひよっこどもだから
面倒くさきゃ毎日走らせておけばいいよ。
逃げ足ってのはいつまでたっても重要だからさ)
(そんでさ)
(やー。いいづらいな、ほれ。あれだよ、察しろよ)
(うん、そうそう。あいつ魔王でさ~。
痛っ!? ま、ま、まじ。や、やめて!? 両手剣は止めて!)
痛っ!? ま、ま、まじ。や、やめて!? 両手剣は止めて!)
女騎士「何の問題もない」
(な、頼むよ。ほんと。土下座するから。
あれは魔王だけど……。その、悪いやつじゃないんだ。
頭はぶっ飛んでるし、常識ずれてるけどさ。
義理堅い、約束を破るヤツじゃないんだよ)
あれは魔王だけど……。その、悪いやつじゃないんだ。
頭はぶっ飛んでるし、常識ずれてるけどさ。
義理堅い、約束を破るヤツじゃないんだよ)
女騎士「何の問題もないんだ」
447 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 01:51:44.43 ID:vGBiMEoLP
女騎士「おい、魔王!」
魔王「お、女騎士殿……」
魔王「お、女騎士殿……」
女騎士「こうなったら『殿』なんてつけるのは
やめにして欲しいな」
やめにして欲しいな」
魔王「……それは」
女騎士「たしかに、勇者はあなたと契約をした。
あなたと勇者の間には特別な絆があるかもしれない。
それはまぁ……。
悔しいけれど、仕方ない。認める」
あなたと勇者の間には特別な絆があるかもしれない。
それはまぁ……。
悔しいけれど、仕方ない。認める」
魔王「……」
女騎士「でもね、絆は一つじゃない。
わたしは勇者に信頼されたんだ。それはわたしの宝だ。
わたしは……わたしだって勇者を裏切らないっ」
わたしは勇者に信頼されたんだ。それはわたしの宝だ。
わたしは……わたしだって勇者を裏切らないっ」
魔王「女騎士殿……」
女騎士「だから心配なんてしないで。こんな戦で
わたしが毛筋ほども傷つくなんてあり得ない。
まだまだ降りるつもりはないんだからねっ」
わたしが毛筋ほども傷つくなんてあり得ない。
まだまだ降りるつもりはないんだからねっ」
456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 02:04:09.11 ID:vGBiMEoLP
――冬の国、海岸資材集積地
開拓民「ほーぅい! ほーぅい!」
開拓民「よーそー。ようそー」
開拓民「あげろー! もっとあげろー!!」
開拓民「よーそー。ようそー」
開拓民「あげろー! もっとあげろー!!」
冬寂王「どうだ?」
士官「はっ! これは冬寂王! 云って頂ければ報告を
お持ちしましたのに」
お持ちしましたのに」
冬寂王「足が不自由な年寄りじゃねぇよ」
士官「作業は順調であります」
開拓民「ほーぅい! ほーぅい!」
冬寂王「よー!! 精が出るな!!」
開拓民「あんれ! 王様だよー!」
開拓民「王様だー!」
開拓民「冬寂王だー!」
開拓民「王様だー!」
開拓民「冬寂王だー!」
冬寂王「すまねぇががんばってくれ! 夕暮れになったら
宿舎に熱い酒でも届けさせるからな!」
宿舎に熱い酒でも届けさせるからな!」
開拓民「任せてくだせぇ、王様!」
開拓民「ほーぅい! ほーぅい! 王様のために木を切るよ!」
開拓民「ほーぅい! ほーぅい! 王様のために木を切るよ!」
459 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 02:07:21.56 ID:vGBiMEoLP
冬寂王「みんな表情に力があるな」
士官「王が回ってるお陰ですよ」
士官「王が回ってるお陰ですよ」
冬寂王「何ほどのことも出来てやしないさ。
おお、丁度良いところに」
漁師「おお、王様。戻ってきました」
冬寂王「アレはどうなってる?」
おお、丁度良いところに」
漁師「おお、王様。戻ってきました」
冬寂王「アレはどうなってる?」
漁師「近いですだ。今年も必ず」
冬寂王「どれくらいになるかね」
漁師「年越しをしてから、2週間ほどかと」
漁師「年越しをしてから、2週間ほどかと」
冬寂王「ふむ」
士官「野営地の拡充を検討すべきですね」
士官「野営地の拡充を検討すべきですね」
冬寂王「足りないか?」 士官「志願兵が……これは大陸中央部からですが
思ったよりずっとやってきています。このままでいくと 今の2倍の野営地があっても足りないかもしれません」
思ったよりずっとやってきています。このままでいくと 今の2倍の野営地があっても足りないかもしれません」
冬寂王「ふむ、そっちの手を先に打ってくれ。
開拓民が必要なら、ふれを回せ」
開拓民が必要なら、ふれを回せ」
冬寂王「で、あるならば外套と手袋が必要だ。
指が氷っちまったら作業も何もないからな」
指が氷っちまったら作業も何もないからな」
青年商人「その件はわたしが対応しましょう。
『同盟』の名にかけて」
『同盟』の名にかけて」
462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 02:12:27.31 ID:vGBiMEoLP
――第二次極光島攻略作戦、臨時作戦本部
執事「はっはっは。お久しぶりでございます。
女騎士殿、お変わりないようで欣快に堪えません」
女騎士殿、お変わりないようで欣快に堪えません」
女騎士「爺さんもまったく変わらないな」
執事「ほっほっほ。女騎士殿もお胸のサイズが変わらないようで」
女騎士「斬るっ!」
執事「にょっほっほっほ。にょっほっほっほっほ」
女騎士「その妖怪じみた動きっ! いい加減にしろっ!」
執事「にょっほっほっほ。これは森の中で密かに動くための
弓兵独特の穏行術ですよ、にょっほっほっほ」
弓兵独特の穏行術ですよ、にょっほっほっほ」
女騎士「ええーい、だから爺さんは昔から苦手なんだっ!
じっとしろっ! そのヒゲをさっぱりつるつるにしてやるっ」
じっとしろっ! そのヒゲをさっぱりつるつるにしてやるっ」
執事「おや、まさかまだつるつるなのですか!?」
女騎士「~~っ!!!」
467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 02:17:58.87 ID:vGBiMEoLP
執事「にょっほっほ! まだまだこんな物ではありませんよ」
女騎士「ええーい! 器用に腰だけ分身するなっ!!」
女騎士「ええーい! 器用に腰だけ分身するなっ!!」
執事「まだまだ増えますぞっ!」
冬寂王「あー。なんだ。本当に仲が悪いのか?」
女騎士「こ、これは冬寂王っ!」
執事「若っ。のぞき見とはちとはしたないですぞ」きりっ
執事「若っ。のぞき見とはちとはしたないですぞ」きりっ
冬寂王「……」じー
執事「こほん。女騎士殿、こちら冬の国の冬寂王でございます」
冬寂王「……」じー
女騎士「……なんだその変わり身」
執事「何のことでございますかな?」
執事「何のことでございますかな?」
冬寂王「爺はこうだったのか?」
女騎士「最初から最後までこうでした」
女騎士「最初から最後までこうでした」
執事「な、なんのことですかなっ!?」
冬寂王「我が国の者がご迷惑をおかけして申し訳ない」
女騎士「いえ、仕方有りません。しつけをしてください」
女騎士「いえ、仕方有りません。しつけをしてください」
執事「若っ!」
472 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 02:25:01.79 ID:vGBiMEoLP
冬寂王「ともあれ呼集に快く応じてくださって
感謝してもしきれません、女騎士殿」
感謝してもしきれません、女騎士殿」
女騎士「顔を上げください。一国の王ではありませんか」
冬寂王「いえ、我ら一同あなた方には返しきれないほどの
借りがあります。そのせいで、爺など連絡を渋る始末で」
借りがあります。そのせいで、爺など連絡を渋る始末で」
女騎士「そうなのか?」
執事「胸が育つ時間を猶予で差し上げたかったのです」
女騎士「斬るっ」
執事「にょっほ……こほん、こほんっ」
執事「胸が育つ時間を猶予で差し上げたかったのです」
女騎士「斬るっ」
執事「にょっほ……こほん、こほんっ」
冬寂王「早速で悪いのですが、こちらへ」
女騎士「は、その方が助かります」
女騎士「は、その方が助かります」
冬寂王「これはこの近辺の地図になります」
女騎士「かなり正確ですね」
執事「わたしが直々に指図して作りましたからな」
女騎士「かなり正確ですね」
執事「わたしが直々に指図して作りましたからな」
冬寂王「だ、そうです」
女騎士「加齢臭がしますね」
執事「なっ!?」
女騎士「加齢臭がしますね」
執事「なっ!?」
冬寂王「では、戦略の概要を検討するとしましょう」
女騎士「お聞きしましょう。新しき英雄との噂
我が友の二人の代わりに見届けさせて貰う所存です」
女騎士「お聞きしましょう。新しき英雄との噂
我が友の二人の代わりに見届けさせて貰う所存です」
529 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 11:17:18.21 ID:vGBiMEoLP
――冬越しの村、降り込める雪
小さな村人「ほーぅい! ほぅい!」
中年の村人「寒いねぇ」
鋳掛け職人「まったくだぁよ」
中年の村人「寒いねぇ」
鋳掛け職人「まったくだぁよ」
小さな村人「今年の雪は大粒だなや」
中年の村人「ぽってりした感じだでなぁ。年が明けてから
急に寒くなるかもしんねだなぁ」
急に寒くなるかもしんねだなぁ」
鋳掛け職人「冬籠もりの準備は終わったけぇ」
小さな村人「ああ、今年はよくがんばっただぁよ」
小さな村人「ああ、今年はよくがんばっただぁよ」
中年の村人「うちでも、今年は倍もベーコンを作っただ。
それなのに、豚は去年の3倍も居るだぁよ」
それなのに、豚は去年の3倍も居るだぁよ」
鋳掛け職人「ああ、カブなのかい?」
小さな村人「そうだねぇ。今年はイノシシも捕れたし」
中年の村人「何年ぶりだろう、こんなに豊作な冬は」
中年の村人「何年ぶりだろう、こんなに豊作な冬は」
鋳掛け職人「良かったねぇ。うちもこの冬に、
注文して貰った農具の直しを全部やっちまわねぇと」
注文して貰った農具の直しを全部やっちまわねぇと」
小さな村人「豚っ子の小屋を少し手直ししてやんねぇと」
中年の村人「雪の中でか? そりゃいそがねぇと!」
中年の村人「雪の中でか? そりゃいそがねぇと!」
533 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 11:21:58.44 ID:vGBiMEoLP
鋳掛け職人「そういえば、学士様が来てもう1年以上だなや」
小さな村人「ああ、そうだなや」
中年の村人「学士様には世話になっとるだなぁ」
中年の村人「学士様には世話になっとるだなぁ」
鋳掛け職人「ああ、そうだそうだ。修道院が出来てから
オラの所にもお客がたくさん増えただぁよ」
オラの所にもお客がたくさん増えただぁよ」
小さな村人「考えてみたら、村の人も増えただなや」
中年の村人「ああ、そうだ。今年のお祭りはきっと賑やかだぞ!」
中年の村人「ああ、そうだ。今年のお祭りはきっと賑やかだぞ!」
鋳掛け職人「年越祭か?」
小さな村人「年越祭だ!」
小さな村人「年越祭だ!」
中年の村人「ああ、楽しみだなやぁ!」
鋳掛け職人「一年で一番良い日だなや」
鋳掛け職人「一年で一番良い日だなや」
小さな村人「今年は戦に行ってる人もいるんだけども」
中年の村人「ああ、そうだ。修道院で、戦に行ってる人に
年越祭の届け物を集めるっていってたなや」
年越祭の届け物を集めるっていってたなや」
鋳掛け職人「そうかぁ。ジョッキを送ったら使って
もらえるだろか-?」 小さな村人「鋳掛けさんのジョッキなら大歓迎だでよ!」
もらえるだろか-?」 小さな村人「鋳掛けさんのジョッキなら大歓迎だでよ!」
中年の村人「おら、ベーコンおくるべぇか。今年は沢山出来たし」
小さな村人「じゃぁ、おらも何か贈り物用意せんとなぁ」
小さな村人「じゃぁ、おらも何か贈り物用意せんとなぁ」
535 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 11:26:00.18 ID:vGBiMEoLP
――冬越しの村、村はずれの館……年越祭の夕べ
メイド妹「~♪ ふふぅん~♪」
メイド長「料理の準備は?」
メイド長「料理の準備は?」
メイド妹「でーきました~♪」
メイド長「語尾を不必要に伸ばさない」
メイド妹「はぁい」うきうき
メイド長「語尾を不必要に伸ばさない」
メイド妹「はぁい」うきうき
メイド長「まったく……。そんなに楽しみですか」
メイド妹「それは楽しみだよう!」
メイド妹「それは楽しみだよう!」
メイド長「よく判りませんね」
メイド妹「眼鏡のおねーちゃんは引っ越してきたから。
年越祭はこの国では一番大きなお祭りだよ~」
メイド妹「眼鏡のおねーちゃんは引っ越してきたから。
年越祭はこの国では一番大きなお祭りだよ~」
メイド長「ふむ」
メイド姉「そうなんですよ?」
メイド長「ああ、メイド姉。書類整理はどうでした?」
メイド姉「はい。帳簿整理も、出納管理も一段落しました
荷物にはタグを全てつけましたので、明日にでも、
人手を借りられれば修道院の倉庫へ移せます」
荷物にはタグを全てつけましたので、明日にでも、
人手を借りられれば修道院の倉庫へ移せます」
537 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 11:34:02.20 ID:vGBiMEoLP
メイド長「ありがとう。それで……」
メイド姉「はい?」
メイド姉「はい?」
メイド長「そんなに賑やかな祭りなのですか?」
メイド姉「賑やか、と云うのとは違いますが……。
この地方の冬は厳しくて、ほぼ四ヶ月は
ろくに屋外には出られません。
長い冬の間は家畜の世話をするくらいしかないんですよ。
もちろん、細工物をしたり、繕い物をしたり、
夏の間に出来ないことはしますけれどね。
長い冬の間、大人たちは、そういった細かい仕事をしながら
退屈を紛らわせます。
子供は新しいお話を覚えたり、羊の世話を覚えます。
年頃になった女の子は絨毯を編むことを覚えたりしますね。
それもこれも開拓民の話ですが……」
この地方の冬は厳しくて、ほぼ四ヶ月は
ろくに屋外には出られません。
長い冬の間は家畜の世話をするくらいしかないんですよ。
もちろん、細工物をしたり、繕い物をしたり、
夏の間に出来ないことはしますけれどね。
長い冬の間、大人たちは、そういった細かい仕事をしながら
退屈を紛らわせます。
子供は新しいお話を覚えたり、羊の世話を覚えます。
年頃になった女の子は絨毯を編むことを覚えたりしますね。
それもこれも開拓民の話ですが……」
メイド長「……」
メイド姉「農奴はもっと惨めですが、それでも冬の寒さだけは
平等です。長い間表にも出られず、じっと火を守って
春を待つんですよ? そんな長い冬の間の最大の楽しみが……」
平等です。長い間表にも出られず、じっと火を守って
春を待つんですよ? そんな長い冬の間の最大の楽しみが……」
メイド妹「年越祭りなんだよ♪」
539 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 11:45:10.91 ID:vGBiMEoLP
メイド姉「新年を迎える日を挟んで四日間が年越祭です。
ご馳走を作って、プレゼントを交換するんです。
農奴はプレゼントを用意することは難しいですが、
それでも精一杯のご馳走を作ります。
このときばかりは、地主の方も振る舞いをして
農奴にベーコンやエールなどを訳惜しみなく与えることも
よく見られます。みんなで歌を歌ったり、運が良ければ
吟遊詩人や旅人の珍しい話を聞いたりします。
年越祭は、長い冬をすごすこの国の人の
一番楽しみにしている日なんですよ」
ご馳走を作って、プレゼントを交換するんです。
農奴はプレゼントを用意することは難しいですが、
それでも精一杯のご馳走を作ります。
このときばかりは、地主の方も振る舞いをして
農奴にベーコンやエールなどを訳惜しみなく与えることも
よく見られます。みんなで歌を歌ったり、運が良ければ
吟遊詩人や旅人の珍しい話を聞いたりします。
年越祭は、長い冬をすごすこの国の人の
一番楽しみにしている日なんですよ」
メイド妹「眼鏡のおねーちゃん、眼鏡のおねーちゃん」
メイド姉「妹、メイド長様と仰い」
メイド姉「妹、メイド長様と仰い」
メイド長「お姉さんでかまいませんよ?」
メイド妹「おばさんって云うと怒る……」
メイド長「吊されたいんですか?」ちらっ
メイド妹「……え、えっと。眼鏡のおねーちゃん。
踊りに行っても良いんだよね?」
踊りに行っても良いんだよね?」
メイド長「ええ、かまいませんよ。
そう言うことならば、是非いってらっしゃい」
そう言うことならば、是非いってらっしゃい」
魔王「うむ、そうだぞ。行ってくるべきだな」
メイド長「あら、当主様。いらしてたんですか?」
540 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 11:51:56.60 ID:vGBiMEoLP
魔王「そうか、そのような素晴らしい祭りであったのか」
メイド姉「はい」
メイド長「どうされました?」
メイド姉「はい」
メイド長「どうされました?」
魔王「いや、さきほど村長と修道士が招待に来たのだが、
生返事をしてしまったのだ」
生返事をしてしまったのだ」
メイド妹「えー。よくないよぅ」
メイド姉「こらっ」
メイド姉「こらっ」
魔王「もっともだ。良くない事だ。反省しよう」
メイド妹「当主のおねーちゃんも一緒に行こう?
あのねー。男の子もいっぱい居るんだよ。
おねーちゃんはおっぱい格好良いから、誘われるよ?」
あのねー。男の子もいっぱい居るんだよ。
おねーちゃんはおっぱい格好良いから、誘われるよ?」
メイド姉「こ、こ、こ、こらっ」
魔王「うーん。それはありがたい申し出だが
遠慮しておくとしよう」 なで
遠慮しておくとしよう」 なで
メイド妹「えー」
魔王「メイド長」
メイド長「はい?」
メイド長「はい?」
魔王「後で村長の家に林檎酒を1樽とどけてくれないか?
ほら、味見とか云って商人が送ってきたのがあっただろう」
ほら、味見とか云って商人が送ってきたのがあっただろう」
542 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 11:59:19.56 ID:vGBiMEoLP
メイド長「よろしいのですか?」
魔王「いいだろう? わたしたちでは飲みきるものでもないし」
魔王「いいだろう? わたしたちでは飲みきるものでもないし」
メイド妹「わたしあとで馬車頼んでくるよー!」
メイド姉「そうね。樽を運ぶのは私たちには無理ね。
馬丁さんによろしくね」
馬丁さんによろしくね」
メイド長「賄賂は空振りですよ、商人様。
まぁ、商人様には泣いて貰いましょう」
まぁ、商人様には泣いて貰いましょう」
魔王「?」
メイド妹・姉 こそこそ
メイド長「どうしたんです?」
メイド妹「ドジャーン!!!」
メイド姉「えっと」
メイド姉「えっと」
メイド長「?」
メイド妹「年越し祭りのプレゼントで~っす!!」 メイド姉「大きな物は用意できなかったのですが……」
544 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 12:04:12.35 ID:vGBiMEoLP
メイド妹「当主のおねーちゃんには、これですー!」
魔王「これは……?」
魔王「これは……?」
メイド妹「ぶらぶら勇者様人形でーっす!」ぶんぶんっ
メイド姉「お恥ずかしい」
魔王「あはははは。すごいではないかっ! くれるのか?」
メイド姉「お恥ずかしい」
魔王「あはははは。すごいではないかっ! くれるのか?」
メイド妹「プレゼントですっ」
メイド姉「わたしからは、スズランの香水です。
秋口から集めて作ったんです。修道院の資料にありまして……」
メイド姉「わたしからは、スズランの香水です。
秋口から集めて作ったんです。修道院の資料にありまして……」
魔王「ああ。嬉しいぞ。ありがとうっ」
メイド長「あらあら、まぁまぁ」にっこり
メイド長「あらあら、まぁまぁ」にっこり
メイド妹「眼鏡のおねーちゃんにはこれでーっす!
二人で作りました~!!」
メイド長「え? わたしにもいただけるのですか?」
二人で作りました~!!」
メイド長「え? わたしにもいただけるのですか?」
メイド姉「はい。新しい飾りエプロンなのですが」
メイド長「こんな……」
メイド妹「刺繍はスズラン、お姉ちゃん作っ! でぇす!」
メイド長「こんな……」
メイド妹「刺繍はスズラン、お姉ちゃん作っ! でぇす!」
魔王「わたしとおそろいだな?」
メイド姉「はいっ」
546 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 12:10:25.38 ID:vGBiMEoLP
メイド長「でも、こんな」
メイド姉「あっ。や、やっぱり。縫い目が不揃いですか?」
メイド長「とんでもない! でも……」
メイド姉「あっ。や、やっぱり。縫い目が不揃いですか?」
メイド長「とんでもない! でも……」
魔王「私たちはプレゼントなぞ、用意していないのだ。
すまんな。祭りのことなど、すっかり失念していた」
すまんな。祭りのことなど、すっかり失念していた」
メイド妹「そんなのいいよー♪」
メイド姉「ええ、お気遣いなく」
メイド姉「ええ、お気遣いなく」
メイド長「……」きゅっ
魔王「しかし」
魔王「しかし」
メイド姉「こんなに優しくて暖かいお屋敷で
働かせて頂いてるんです。
毎日プレゼントをいただいているような気持ちです」
働かせて頂いてるんです。
毎日プレゼントをいただいているような気持ちです」
メイド妹「わたしたち、すっごく幸せだよ~♪」
魔王「……お前たち」
メイド妹「それにねー。今年はね」じゅる
メイド姉「もぅっ」
メイド姉「もぅっ」
メイド妹「えへへ~」
メイド姉「この子、もうお祭りのご馳走で頭が
いっぱいなんです。これ以上幸せになったら、
子豚さんになっちゃいますよ」
メイド姉「この子、もうお祭りのご馳走で頭が
いっぱいなんです。これ以上幸せになったら、
子豚さんになっちゃいますよ」
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