鉄腕アトム(1963年) 手塚治虫原作の漫画をもとに日本初の連続TVアニメ(当時の言葉で「テレビ漫画」)として製作され、常時視聴率20~40%台を誇る大人気番組となった。1966年末の最終回はアトムが地球を救うためにミサイルを抱えて太陽に単騎突入するという神風特別攻撃隊をイメージさせるエピソードで締めくくられており、放送を見た全国の児童に大きな精神的影響を与えたという(なお、この最終回はアメリカ放送版ではカットされた)。 2005年に放映され一部で名作の評がある『SoltyRei』(ソルティレイ)には鉄腕アトムのモチーフが垣間見られる。 |
宇宙戦艦ヤマト(1974年) 宇宙空間を舞台とした戦闘・メカ系アニメの金字塔であり、1977年の劇場版の大ヒットにより空前のアニメ・ブームを巻き起こした名作である。そして大東亜戦争末期の戦艦大和の沖縄特攻作戦(菊水作戦)を直接のモチーフとする点でも特異な位置を占める作品である(宇宙戦艦ヤマトは、坊之岬沖に横たわる大昔の戦艦・大和の残骸を隠れ蓑にして建造され、沖縄ならぬイスカンダルを目指して単艦で出発する、という設定となっている)。終戦からまだ29年、沖縄の日本復帰からまだ2年しか経っていない時点でのこの放送内容は相当に刺激的であったはずであり、敵のガミラス帝星がアメリカよりはナチス・ドイツをイメージさせる描出となっているところもまた興味深い。 2012年~13年にかけて現代風にストーリー改変したリメイク版が作成され、劇場公開・TV放送された。 |
魔法のスターマジカルエミ(1985年) 魔法少女アニメは1966年の「魔法使いサリー」を初めとして数々の名作が作られてきたが、この作品は完成度において一つのピークを達成するとともに魔法少女アニメというカテゴリー自体を半ば破壊したと評される。すなわち、この作品は、魔法の力でいつの間にかマジック劇団のアイドル・スターに祭り上げられてしまった少女が、やがて魔法ではなく自分の力で憧れのマジシャンへの道を進む決意を固めて妖精に魔法の力を返却してしまう、という異例の展開を、少女の心境の緩やかな変化という一種の心理ドラマとして構成して、従来の魔法少女アニメより一歩も二歩も高い境地に達してしまった。 これ以降の魔法少女アニメは、男児向けの戦闘アニメとさほど見分けのつかない戦闘美少女系アニメ、ないしはマジカル・エミのようなノーマル系の魔法少女をモチーフとしたパロディ的な作品ばかりが製作されるようになってしまったという。 |
新世紀エヴァンゲリオン(1995年) それまで顕著に存在した男児向け・女児向けといった性別カテゴリーや、アニメは子供向けのものといった固定観念を破壊したアニメ史上空前の問題作。一応は戦闘・メカ系アニメの顔をしているが、むしろ主人公と周辺人物たちの心理劇という側面が世界の破滅という悲劇と相俟って視聴者に強くアピールし、「セカイ系」という新たなアニメ・カテゴリーを創出したとされる。 21世紀に入ってもストーリー改変したリメイク版劇場アニメが数年置きに作成・公開されヒットし続けている。 |
涼宮ハルヒの憂鬱(2006年、2009年) 2006年春の時点で、①脚本・②演出・③作画・④楽曲・声演いずれを取っても当時としては異例に高い完成度をもって製作・放映され、現代アニメの方向性を決定づけた傑作。 それまでのアニメが、世界や人類の平和、ないしは主人公の心の葛藤といった大袈裟なテーマを勿体つけて視聴者に語りかけていた(語りかけられる側には日蔭者意識=オタク意識がまとわりつくのが常だった)のに対して、この作品は何よりも「視聴者を楽しませる」というエンターティンメント性の高い内容にシフトして構成されており、そのためにリア充(リアル生活も充実している人)系ラブコメの代表作とも評されることになった。 2006年放送版は内容がシャッフルされておりストーリー展開が掴み辛いので、2009年放送版(再放送&完全新作)+映画『涼宮ハルヒの消失』(2010年)の視聴をお勧めする。 |
ガールズ&パンツァー(2012年秋) 女子高生が戦車に乗り込みスポーツ・バトル!の馬鹿馬鹿しい設定と思わせておいて、話が進むほどに少年漫画の王道的展開を見せる熱血“神”アニメ。構成に一切無駄がなく、登場するほぼ全てのキャラクラーが各々個性的な魅力を放っている点、そして何よりも毎回何故か視聴者に幸福な満足感を与えてくれる点でも稀有な傑作。 |
とらドラ!(2008年秋) 作品の半ば(第13話辺り)までは月並みな学園ラブコメと思わせておいて、そうして張った様々な伏線を、第17話以降~最終話(第25話)までの最後の1/3で見事に回収しつつシリアスな恋愛と友情の相克劇を爆発的に描き出す現代版『感情教育』。アニメにここまで説得力の高いリアルな恋愛感情の表現が出来るとは正直思わなかった・・・。不覚でした。 |
魔法少女まどか☆マギカ(2011年冬) 使い古された“魔法少女”というファンタジー設定を逆手にとって、視聴者をまんまと哲学的思索へと誘い込んでしまう、①脚本・②演出・③作画・④楽曲・声演 の全てに亘って完璧な出来栄えの傑作。余りに本作が傑作すぎたせいで2013年10月公開の続編映画の出来が危ぶまれているが果たして大丈夫か? |
けいおん!(2009年、2010年) (1)~(3)と違い、アニメの物語(ロマン)としての側面は敢えて抑えて、平凡な学園生活を題材としつつ作品の技術的洗練度を最高度に高めた傑作。メイン・デッシュが出てくるわけではないのだけれど、少しずつ味わっているうちに、じわじわと美味しくなって何杯でもお替りしたくなる感覚はまるで日本料理? |
化物語(2009年) 化物語を第一作とする《物語シリーズ》は2013年現在もセカンド・シーズンが放映中の表現技法に関して実験色の非常に強いアニメであり、ストーリー自体もなかなか面白い。今後の新展開にさらに期待したい。 |
Steins;Gate(2011年) 作中に若干の無駄・無理展開があるため残念ながらS級認定から外したが、想定科学ADVの謳い文句に恥じない良作である。特に厨二病(中二病)の自覚症状のある人にお勧めかも? |
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Angel Beats!(2010年) ストーリー展開に粗も目立つが意外な感動ポイントも多い佳作。テーマとしては、前述の「涼宮ハルヒ」と違って生きることの意味を真剣に問うている部分も散見される変則的な学園ラブコメである。 |
魔法少女リリカルなのはA's劇場版(2012年夏) 萌えアニメの外見をしていながら、実は正義と勇気を真正面から描き出す燃える快作。魔法少女まどか☆マギカ以上に強い偏見を持たれそうな作品であるが、構成に無駄が多く作画も古いTV放送版(2004年、2005年、2007年)ではなく、それらのリメイクである劇場版第一作(2010年)、そしてこの劇場版第二作を先ず見ると良いと思われる。 |
ひぐらしのなく頃に(2006年、2008年) どうでもいいギャグ・作画崩壊など無駄が目立つが、それでも一見の価値のある稀有な“怪作” |
琴浦さん(2012年秋) 日常と非日常が微妙に交差する内容だが、基本的には安心して和(なご)める内容。最初の方はかなり面白いが中ダレが非常に残念。 |
これはゾンビですか?(2011年、2012年) 魔法少女や学園コメディの色々な要素をパロディ化してお気楽に組み合わせた支離滅裂な内容だが、第一期の第1話だけは傑作といってよい出来。 |
コード・ギアス(2006年、2009年) 長編の戦闘・メカ物としては珍しくマンネリではなく常に次話が気になる良作。一般には戦闘・メカ物の代表作とされるガンダム・シリーズにあるような変に気負った反戦・平和主義的な主張、あるいは「とにかく話せば分かる」的な無根拠な発想の刷り込みが無いところも良い。 |
鋼の錬金術師劇場版(2011夏) 美形に見立てた外見をしていながら、実は科学の知識と正義を描き出している最高の傑作。ワンピースの倍とも言われる強い偏見を持たれそうな作品だが、構成に雑な箇所が含まれているTV放送版(2003年、2009年)ではなく、劇場版一作(2005年)、そしてこの劇場版第二作を先ず見ると良いと思われる。 |
青の祓魔師 古都系魔術的作品。数々のストーリーながら、鋼の錬金術師よりもイメージに無駄な場面も含まれているが、それ以外はしっかりとした良作。動画は劇場版のもの。 |
僕は友達が少ない メディアファクトリーが新たに生み出した独自のアニメ構成は、こちらが初作品。いたいけな面もあるが、実はラブコメも意識して製作してある。2011年10月と2013年1月のNEXTがあるが、動画はNEXTのもの。 |