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#navi(ゼロと魔砲使い) &setpagename(プロローグ) プロローグ・被召喚者の事情 0077.9.18 第64管理外世界。 ここ第64管理外世界は、放棄世界……星としての生命力が尽きかけた、見捨てられた荒野の広がる世界である。 荒野と廃墟だけは無数にあるが、かつてはいたと思われる住民も遙か昔より行方は知れず、動植物もきわめてまれである。 入植しようにも地力すら尽きたこの地においては再生費用がとうてい採算ラインに及ばず、ということで現在もただの空き地として事実上野放しになっている世界である。 ただ、残された遺跡の調査や、犯罪者達に対する警戒は怠りなく行われており、また、管理局武装隊関連の演習場としても活用されている。遺跡も文明の進化度合いから一部の学者がある意味興味本位で行っている程度のものであり、特に危険視はされていない。 だが、ある意味それが油断だったのかも知れない。 住民が根こそぎ移住するような場所には、やはりそれなりの訳というものがあったりするのだ。 幸い、今回の事件で判明した『訳』は、たいした危険性のあるものではなかった。 - 一時期は管理局全体を揺るがす事件になるかとも思われたが、最後は思ったより平和理に片が付いた。 + 一時期は管理局全体を揺るがす事件になるかとも思われたが、最後は思ったより平和裏に片が付いた。 事実、この事件の発端において、巻き込まれたのが彼女でなかったら、事件はこうも大きくはならなかったであろう。 現地にて教導を行っていたが故に、そしてかつて機動六課でロストロギアがらみの事件に絡んでいたが故に、この事件において不在にして主役という役割を賜った彼女。 高町なのは(20)、あのエースオブエースが、謎の次元震とともに行方不明にならなければ。 その時彼女は、現地で発掘された、ロストロギアの可能性もある大型機械の元にいた。 地下の奥深くに設置されていたそのシステムは、魔力の供給によって、かなり強力な次元振動波を発生するシステムであると思われた。 本来なら、このシステムはあと十年は発見されることも、こうして封印処置が執られることもなかったであろう。それは皮肉にも、今応急の封印処置をしている、高町なのは教導官のせいであった。 このシステムの起動には莫大な魔力が要求される。システムの構築者であるかつての住人達にとってもその魔力量は負担だったようで、魔力の蓄積は自然の魔力素の集積や、余剰魔力の回収などによって行うシステムになっていた。 なのは達は、今回よりによってその集積装置の近傍で演習を行っていたのである。参加した隊員達、およびエースオブエースであるなのはがさんざんにまき散らした魔力が片っ端からこのシステムに吸収されたためシステムが覚醒状態に移行し、こうして発見されたのだった。 システムは現地の遺跡調査隊や演習中の魔導士達が調べたところ、理由は不明ながら、強力な次元振動波を発し、やり方によっては人工的な時空震を引き起こすことも可能らしいことが判った。 また、起動したシステムから断片的に読み取れた情報として、このシステムはこの星の複数箇所に設置され、リンクして次元振動波を発生させることも判明した。 こうなるとよくて管理局の直接取扱物件、最悪の場合は一級のロストロギアとしてこのシステムは扱われることになる。 直ちにこの一件は通報され、担当の部署が動き出すことになったが、問題は今覚醒状態にあるシステムである。 現時点においてこのシステムに対して何かできる経験を持ち合わせていたのは、かつて機動六課でロストロギア事件に対処し、過去においてもいくつもの類似事件を解決したことのある高町なのはその人しかいなかったのである。 結果、彼女は単身でこの場にいた。万一があった場合、現在この地にいる要員では、かえって足手まといになる可能性が高かったためである。 彼女は精密魔力探知スキャナーや高性能ハンディーコンピューターといった機材をいくつか抱えて、問題の次元振動波発生システムに対して封印処置を行った。 幸いその処置は(なのはというよりサポートのレイジングハートの能力で)うまくいき、システム暴発の恐れはまず無くなった。後は残った部分を順次閉鎖処理、要は電源を切っていくだけである。 だが、その時、突然システムの一部がよみがえった。 「え、何? なにか?」 思わずあわてたなのはであったが、そこに素早くツッコミが入る。 “ご安心を、マスター。起動したのは次元波の記録システムのようです” レイジングハートが、マスターたるなのはより遙かに的確に状況を把握し、報告する。 実際、なのはは魔導士として、戦闘能力やそれに付随する教育能力に関しては文句の付けようがないくらい優秀であったが、こういった細かい分析や記録、各種装置の操作に関しては相棒まかせな一面もあった。 決して機械いじりが苦手なわけではないのだが、性格的に大雑把な面のあるなのはは、こういう事はたいてい相棒に任せていた。実際、十年来のつきあいのある相棒も、その点はよく理解している。 インテリジェンスデバイスとしてマスターを選んでより十年あまり、その年月による蓄積は馬鹿に出来ないものになっていた。 「でもなんで……ん?」 疑問に思ったなのはの前に、不可思議な「何か」が存在していた。 銀色に光る、魔力で構成されたと思われる鏡のようなもの。景色が映っているわけではないが、その形状が何故か鏡を思わせる。横から見ると、ある一点でまったく見えなくなってしまった。 「うそ、魔力による純粋二次元境界面? 何かしら。何となく転移ゲートっぽいけど、魔法陣も展開されていないよね」 “未知のゲートだとしたならばきわめて危険です” レイジングハートも忠告する。 ここで少しメタな話をするが、ここでこれを危険と見なし、謎のゲートが消えるまでおとなしくしていれば、ゲートの向こう側では桃色髪の魔法使いの履歴に、また一つ失敗のサインが加えられ、別の世界でヘタレの少年がそれに突っ込んでいたことであろう。 だが、この話の場合、不幸にもなのはの念話に、とぎれとぎれながらも何か『意志』のようなものが伝わってきてしまっていた。 「え……何、何が言いたいの?」 なのはに届いた思い。いや、想い。 彼女はそれに心当たりがあった。 かつて、今の親友が、まだ親友でなかった頃抱いていた思い。 見果てぬ夢、叶わぬ夢を、それと知りつつあきらめられずにあがく。 その想いは、違っていながら親友のそれに大変よく似ていた。 そしてその想いは。 自分に向かって、不可視の手を差し出していた。 「あたしを、呼んでるの……?」 “危険です、マスター” そしてなのはは、レイジングハートの制止を無視して、そのゲートに触れてしまった。 0077.9.18 第64管理外世界より発掘された、次元振動に関わると思われる遺跡内部にて、謎の時空震とともに、高町なのは一等空尉消失。 かの遺跡は直ちにロストロギアとして封鎖。これが事件の初動に対して致命的なミスとなる。 後の調査によってこの遺跡が、我々が地震波によって地中を調べるのと似たような原理を利用した次元間探査システムであって、彼女の消失とは無関係であることが判明するまでにかなりの時間が経ってしまったのである。 もっとも、事件が解決に至ったのも、このとき起動していた次元振動波の記録システムのおかげであると思えば、まさに『禍福はあざなえる縄のごとし』といったところであった。 なお、この事件の解決にあたって、管理局側でも異例と思われるほどの大物が複数動いていたことは、建前としては記録に残っていない。 #navi(ゼロと魔砲使い)
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